三角形内の内分点と比

久しぶりに数学の問題を解いた気分。



三角形ABCの各点の座標が分かっている。この三角形内の任意の1点Pをとってきたときに、
線分APと線分BCとの交点をHとするとき、AP:AHとBH:HCの比を求めたい。


一般的に解こうとすると結構面倒なんだよね。
点Aと点Pを通る直線と点Bと点Cを通る直線の交点Hの座標を求めてやるのが普通なんだろうけど、
ベクトルの外積を使うと点Hの座標を求めることなく、内分の比を求めることができる。
ベクトル
 \vec{a}=(a_x,a_y,a_z), \vec{b}=(b_x,b_y,b_z)
外積
 \vec{a}\times\vec{b}=(a_yb_z-a_zb_y, a_zb_x-a_xb_z,a_xb_y-b_xa_y)
だ。また、外積の大きさは
 |\vec{a}\times\vec{b}|=|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta
となる。\thetaはベクトル\vec{a},~\vec{b}のなす角。つまり、外積の大きさは2つのベクトルが作る平行四辺形の面積なのだ。
さらに、今回はx-y平面での話なので、z座標は全て0である。つまり
 |\vec{a}\times\vec{b}|=|a_xb_y-b_xa_y|
となる。



ここから、内分の比を求めていく。まずはBH:HCを求める。
△ABHの面積をS1、△ACHの面積をS2とするとBH:HC=S1:S2となる。
ここで角BAH=α、角CAH=βとすると
 S_1=\frac{1}{2}|AB||AH|\sin\alpha,~S_2=\frac{1}{2}|AH||AC|\sin\beta
となる。従って
 BH:HC=\frac{1}{2}|AB||AH|\sin\alpha:\frac{1}{2}|AH||AC|\sin\beta
        =|AB|\sin\alpha:|AC|\sin\beta
である。後は角度の部分をなくせば問題は解決する。

ここで、BPとCPを結び、△ABPの面積をS3、△PBHの面積をS4、△CPHの面積をS5とおく。
外積の大きさが平行四辺形の面積なので
 S_3=\frac{1}{2}|\vec{AB}\times\vec{AP}|=\frac{1}{2}|AB||AP|\sin\alpha
である。従って
 \sin\alpha=\frac{|\vec{AB}\times\vec{AP}|}{|AB||AP|}
同様にして
 \sin\beta=\frac{|\vec{AC}\times\vec{AP}|}{|AC||AP|}
よって
 BH:HC=|\vec{AB}\times\vec{AP}|:|\vec{AC}\times\vec{AP}|



残りはAP:PHだ。AP:PH=S3:S4であるから、S4を求めればよいことになる。以降簡単にするため
 |\vec{AB}\times\vec{AP}|=m,|\vec{AC}\times\vec{AP}|=n
とする。
 S_4+S_5=\frac{1}{2}|\vec{PB}\times\vec{PC}|
であるので、
 S_4=\frac{m|\vec{PB}\times\vec{PC}|}{2(m+n)}
となる。従って
 AP:PH=\frac{|\vec{AB}\times\vec{AP}|}{2}:\frac{m|\vec{PB}\times\vec{PC}|}{2(m+n)}
m, nをもどして
 AP:PH=|\vec{AB}\times\vec{AP}|+|\vec{AC}\times\vec{AP}|:|\vec{PB}\times\vec{PC}|


いやー、結構きれいにでるもんやね。sinとベクトルの関係は一般的に知られていることかもしれないけど、せっかくなんで、三角形を利用して導いてみた。
公式として覚えることも良いけど,導ける力をつけることも大事だと思う。
外積って便利やねぇ〜